Enable AI Foundry(EAF)とシャープが開催したセマンティックカメラハッカソン「Semantic Camera で未来を創ろう!」で職場賞を受賞したのは、「誰だっけ?」だった。ペンダント型のカメラデバイスとヒアラブルデバイス(イヤホン)を組み合わせ、会ったことのある人の名前をそっと教えてくれるシステムだ。
顔は覚えているのに名前が出てこない
松原大悟氏と伊藤義明氏が開発した。松原氏が解決したいのは、会った覚えはあるが名前が出てこないという問題だ。名刺交換をしても覚えきれない、名前を間違えると失礼にあたりビジネスの機会を逃すかもしれない。14人の外国人にも聞いたところ13人が名前を覚えるのが苦手と答えたといい、国を問わず普遍的な課題だと松原氏は指摘する。
構成はシンプルで、ラズベリーパイとカメラとイヤホンを組み合わせたペンダント型デバイスだ。セマンティックカメラの考え方に基づき、顔のデータそのものではなく特徴量だけを保存してプライバシーを守る。登録済みの人物を認識するとイヤホンから名前を教えてくれる。スマホに保存した名簿データとの照合も可能で、自動登録にも対応している。
精度95%、接客から認知症予防まで

Q&A で正答率を問われた松原氏は「大体20人で1人の間違い、95%ぐらい」と回答。マスクをしている場合や似ている人では見間違いが起きるが、あくまで名前を教えてくれる補助ツールであり、多少の誤認識は致命的ではないと説明した。
活用シーンは幅広い。接客業はもちろん、指名手配犯の照合にも応用でき、個人ユースでは1億人のうち数千万人がターゲットになりうるという。さらにその先として、名前を繰り返し教えてくれることで記憶の定着を促し、認知症予防にもつながる可能性を松原氏は示唆する。
カメラを身につけることへの受容性についても質問が出たが、松原氏は「Meta のデバイスや他社のウェアラブルデバイスが普及してくると、徐々に受け入れられていく」と回答。プロトタイプはすでに動いており、今後はハードウェアとの融合でフィジカル AI の領域に展開していく方針だ。